お医者さん

食の欧米化によって発症率が増えている大腸がん。
部位と進行度合いによっては、治療によってさまざまなリスクが発生します。
ここでは、そんなリスクを回避できる可能性のある最新の治療法について説明しています。

医学の進歩で副作用と体への負担が少ない治療を受けられる

案内する医者

体に優しい抗がん剤治療
&放射線治療について

がん治療といえば、多くの人は体の負担の大きい治療を行なうのでは、と考えるでしょう。
がんの治療法として主流なのが、切開手術。
場合によっては臓器の摘出なども行なうため、体への影響は非常に大きなものとなります。
しかし最近では、患者さんへの負担を抑えるため、さまざまな治療法が医療現場で採択されています。
比較的患者さんへの影響が少ない治療法として挙げられるのが、抗がん剤治療と放射線治療の2つです。

お薬

分子標的薬は副作用が少ない
~抗がん剤との違い~

抗がん剤と聞けば、多くの人が懸念するのが副作用による影響です。
抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも悪影響を与えてしまうため、使用すると患者さんに重い副作用が現れてしまうのです。
こうした問題に対処するために、新しく開発されたのが分子標的薬です。
分子標的薬とは、がん細胞に現れる異常な酵素タンパク質を標的にして作用する抗がん剤です。
正常な細胞への影響を抑えることができるので、従来よりも抗がん剤による副作用の負担を軽減できます。

医療マシーン

体に負担が掛からない
放射線治療

放射線治療は、体の外側からがん腫瘍へ放射線を当てて、腫瘍の細胞数を徐々に減らしてゆく治療法です。
放射線を照射されること自体に苦痛はなく、レントゲン写真を撮るような気持ちで治療を受けることができます。
一回の治療で掛かる時間は数分から10分程度。
体に現れる副作用も軽微なものとなる場合が多く、場合によっては普段の仕事を行ないながらでも治療を受けることができます。

大腸がん(直腸がん)になっても放射線治療なら人工肛門にならずに済む

話し合う医者

なぜ、大腸がんの治療は放射線を用いるのか

体に現れるがんの中でも、大腸がんは1990年台から国内の罹患率(りかんりつ)が高くなったがんです。
大腸がんとは盲腸・結腸・直腸・肛門にできるがんの総称です。
初期の状態では自覚症状が少なく、進行した状態で見つかることも多いため、注意が必要です。
がん治療において最も治療の効果が高い方法といえば、腫瘍を切除する手術療法です。
しかし、最近ではこの手術療法ではなく、放射線療法を選択する人が多いのです。

放射線療法を選ぶ理由は大きく分けて2つあります。
1つはがんがかなり進行しており、手術療法が行なえないケースで用いるため。
もう1つが、人工肛門になるリスクを回避するためです。
直腸がんであった場合、がんの大きさによっては直腸や肛門を全て切除することになりますが、そうなると人工肛門の造設手術をすることになります。
放射線療法を受ければ、がん腫瘍を小さくすることができます。
直腸や肛門を全て切除することを防ぎ、人工肛門になることを回避できる可能性があるのです。

健康そうな男性

術前放射線治療によるメリット

術前放射線治療とは、手術前に放射線治療を行なう治療法です。
放射線照射によってがん腫瘍を縮小することができるほか、周辺へのがんの微小転移巣を死滅させることができます。

がんは進行すると、ほかの臓器へ転移することがあります。この転移を防ぐために、通常のがんの手術では腫瘍の摘出だけではなく、腫瘍の周辺の部位を切除することや、腫瘍のあった臓器の全摘出を行なうのです。

術前放射線治療を受ければ、微小転移巣の死滅によって局所再発率を下げることができるほか、肛門の温存を図ることもできます。
患者さんにとって、メリットの大きい治療法といえるでしょう。

胃腸

自然肛門と人工肛門の違い

自然の肛門と人工肛門の大きな違いは、自分の意思で排便をコントロールできないことです。
便やおならを我慢することができなくなるので、いつ出ても対応ができるよう、受け皿となるパウチを人工肛門部に貼り付ける必要があります。

人工肛門になっても、仕事を行なうことや、スポーツを楽しむといった日常生活を送ることは可能です。
しかし、パウチが外れて便が周囲に漏れることや、皮膚に便やパウチの接着剤が付くことで皮膚炎になるなど、生活を送る上でのデメリットが多いのです。

困っている人

大腸がん(直腸がん)の手術を受けると
排尿・排便、性機能障害が起こるかもしれない

直腸がんの手術を受けた場合、治療後にさまざまな後遺症が現れる可能性があります。
手術の後遺症として現れる主な症状は、排便、排尿、性機能への障害です。
直腸は主に排便を行なうための部位なので、手術によってなぜ排尿や性機能への障害が現れるのか、疑問に思う人も多いでしょう。

実は直腸には、排便、排尿、性機能に関する神経が密集しています。
直腸ガンの手術療法によってこの神経が欠損されれば、排便だけでなく排尿や性機能の障害が引き起こされるのです。
排便や排尿の機能に障害が現れれば、自分で排泄を行なうコントロールができなくなります。
性機能障害が現れれば、男性の場合、勃起不全となる可能性があります。
もちろん、どの病院でもできるだけ神経を傷つけないように治療をしますが、神経を避けての手術は熟練の医師でも難しいのです。
手術を受ける場合、こうした後遺症が現れるリスクはゼロではないのです。